「そうめにすと倶楽部」−堀江渓愚のページ




堀江渓愚【ほりえけいぐ】

現代テンカラ釣りの第一人者。 人は時にアーバンテンカラと呼ぶ。
初心者にいかに簡単にテンカラを振ってもらえるか、そして楽しんで
もらえるかを常に考えている。 
各種雑誌に釣行記を連載、ビデオ、テレビ番組でも活躍中。

「そうめにすと倶楽部」顧問を務める。
スズミフィールドテスター。 立川市在住


<ホームページ>「渓愚の世界」開設中!


98年、堀江渓愚氏が、「そうめにすと倶楽部」の本拠地寒河江(郁楓庵)をはじめて訪れた時の釣行記です。この時、寒河江川のC&R区間を目のあたりにし、これをきっかけとして、小菅のC&R区間設定に渓愚氏が奔走することになったことは知る人ぞ知るエピソードです。 なお、この釣行記は「ハローフィッシング」誌に掲載されたものを堀江氏の指示のもとにこのページに再掲致しました。


『そうめにすと倶楽部と寒河江イワナ』


 梅雨の晴れ間を縫い、地元の方々の案内で山形県民のイワナと二日ばかり遊んできました。


一目日の午前中は瀧太郎で有名な大鳥川、午後からは、キャッチ・アンド・りリース区間が設けられたことで人気沸騰の寒河江川本流、明けて二日目は、地元でもとつておきの「源流部」と、二日間で計三本の川を釣らせてもらったのでずが、さすが東北、しかもガイド付きとあってどこも手応え充分で、期待どおりのテンカラをたっぷり、という贅沢な二日間でした。

    ●ホームページ『郁楓庵』

 山形に誘ってくれたのは、東京在住の河田修治さんという、やはり重症のテンカラ・フリークです。
「ニフティーサーブで☆□△◆しましたら、山形に『郁楓庵』というホームページがありまして、○▼★を経由してアクセスしたところ『そうめにすと倶楽部』というテンカラグループとコンタクトがとれまして、そこでのハンドルネーム都筑さん、PLAさんという地元の方々が、いい川がありますから是非どうぞと誘ってくれたんですが、いかがですか」

「……???……成程」

成程とはいったものの、科学的精神構造が「平賀源内」以前の私には半分も話が理解できません。
パソコンとかインターネットといった、バテレンの秘法としか思えない呪文を唱えられますと、たちまち思考回路が鬱血を起こし、目は点、耳はただの穴と化して痴呆状能に陥ってしまうのです。生存する時代を、明らかに二百七十年ばかり間違ってしまったようです。
 それでも、「山形」「地元テンカラ師の案内」「いい川」「イワナ」といった単語から推して、得難い話であることだけはすぐ理解できました。昔人間ではありますが、釣り師の嗅覚だけは常にフル稼働、という抜け目のない私なのです。

「ニフティーサーブ、メール、郁楓庵、そうめにすと倶楽部、都筑さん、プラさん、全てオーケー。とにかく行こう行こう」 何がオーケーなのかよく解りませんが、全て解ったふりをしつつ河田さんと山形へ同行した私でした。

 それにしましても、今回ほどパソコンの効用に感心したことはありません。なにしろ見ず知らずの人と表示画面で出会っただけの緑でたちまち仲良くなり、ひいては今回のように得難い付き合いがいとも簡単にでさてしまうのですから。やはりバテレンの秘法としか思えません。平賀源内でも、きつとそう思うはずです。

   ●そして寒河江へ

 さて当日。東京から山形県寒河江までの行程は、今や全て高速道路なのでたったの5時間。
東北道に山形道がアクセスした結果です。 ここ数年間で随分便利になったものですが、そうなればなったで、道草が食えないのが少々物足りなくもあリます。
 以前は 福島→米沢→長井→寒河江、または長井→山形→寒河江、あるいは村田インターから山形→寒河江というルートを使って寒河江川や月布川へ出掛けました。
それぞれのルートで気ままに道草を食ってうどんや蕎麦をすすり、それぞれの町や村を眺めていくばくかの時間を過ごしたものですが、いかにも釣り旅という雰囲気があったその頃を懐かしがるのは、やはり歳が言わせる我儘というものでしょうか。

   ●そうめにすと倶楽部

 河田さんが案内してくれた郁楓庵の本拠、ひいては、テンカラグループ「そうめにすと倶楽部」の本拠地は、寒河江市の一等地にある池田茶舗というお茶屋さんでした。そこのご主人がハンドルネームPLAさんこと、池田郁楓さんというわけです。
 ちなみに『そうめにすと倶楽部』という名の由来ですが、そのホームページでは次のような説明がなされています。

「渓流に釣行するとき、我々はよく食料として そうめんを持参します。朝からの釣りでほど良く疲れたお昼、持参したコッフエルと携帯スープを使い、渓流の水でそうめんを茹で、冷たい渓流で冷やしてズズ〜ッとすする………これが最高にうまいんですね。我々は釣果よりも、このそうめんを楽しみに釣行しているといっても過言ではありません。ですから、我々が釣行するのは、必然的にそうめんが煮られるくらいに水の清らかな渓でしか釣りをしないというポリシーを持っています。」

釣果だけにとらわれず、気に入った釣り場でスマートに遊びたいという粋な心意気が伝わってくるメッセージではありませんか。
 テンカラの技術的な指導を受け持つておられるのが、山形市在住のハンドルネーム都筑さんです。

   ●キャッチ&りリース

 金曜日の深夜に池田さん宅に到着した河田さんと私でしたが、ご主人だけでなく、奥さんまで出迎えていただいたのには恐縮してしまいました。泊めていただいたのは立派な八畳二間の続き部屋でしたが、釣り仲間のために常時解放してあるという話にも二度びっくりです。

 明けて土曜日。山形市から駆け付けてくれた都筑さんの案内で、午前中は大鳥川、午後から寒河江川の本流を早速釣らせてもらいました。
 大鳥川では八寸級のきれいなイワナ四尾で上々、寒河江川では夕マヅメにかなりの大物がヒット、しかし残念ながらバラシで上の下という結果でしたが、今後も期待充分ということで大いに楽しめた一日でした。

 技術指導を一手に引き受けているというだけあって、都筑さんのテンカラテクニックは達人級で、癖のないキャスティングから繰り出されるフロロカーボン4号のレベルラインが実によく伸び、大鳥川でのイワナ六尾はさすがでした。
 さらに感心したことは、そうめにすと倶楽部のモットーの一つとしてキャッチ&りリースが徹底して行なわれている点でした。
「末長く釣りを楽しみたいというのが全員の希望です。ですからキャッチ&リリースは当然の成り行きなのです」 魚影の濃い環境をテリトリーとする釣り師たちの発言だけに、なんとも嬉しいかぎりではありませんか。

   ●とっておきの釣り場

「ここが私の一番好きな場所です」二日目の日曜日。目を細めながら池田さんが案内してくれた釣り場はある川の源流部でした。
 薮に細々と刻まれた山菜道に飛込んで暫らく歩き、最後は潅木を頼りに急斜面を一気に下降。そんなアプローチを経て辿り着いた釣り場でしたが、土地に詳しい釣り師が推奨するだけあって、低い落ち込みが階投状に連なる渓相が見事でした。いかにもイワナのテンカラに相応しい樹木の佇まいも、言うことなしの絶品です。

 ルートを開拓したのは都筑さんということでしたが、そうめんが煮られるほど水のきれいな釣り場でという、そうめにすと倶楽部の趣旨が一発で理解できるような釣り場でした。
 当然イワナの魚影もすこぶる付きで、ポイントごとに七寸から八寸級が毛バリに飛び出して小気味よく竿を引き絞ってくれました。  池田さんと共に釣っては放し、釣つては放しを繰り返し、すっかり堪能させてもらった半日でした。 都筑さんの案内で隣の沢を釣った河田さんも、山形の初物との対面を果たしたということで大満足の様子でした。

 遊び上手な『そうめにすと倶楽部』と寒河江周辺の良型イワナ……。久方ぶりに結構ずくめのテンカラを味合わせてもらった二日間でした。

「やってみようか五十の手習い」

平賀源内以前の私ですが、パソコンの広告に、つい目を奪われがちな今日この頃です。


「そうめにすと倶楽部」TOP PAGE

Copyright (c) ikufu ikeda